みなさんこんにちは。先日の7月25日にTeacher2.0の7月テーマである「真のグローバル社会における進路指導のあり方」についてのオンラインセミナーが開催されました。
スピーカーは、香里ヌヴェール学院中学校・高等学校の校長である池田先生にテーマについて話をしていただきました。
所感になってしまうのですが、本当に興味深いお話でありました。一つ一つの言葉、発表内容の濃度が高く、経験の深さ、情報量の多さ、たくさんの学びがセミナー内にはありました。
本稿では、オンラインセミナーのレポーティングとなります。全てを公開はできませんが、部分的に抜粋した内容を元にかいつまんで紹介します。勝手ではありますが、池田校長のプレゼンを3部に分けて紹介していきたいと思います。
第一部:日本人特有の「ウチ」と「ソト」の考え方とグローバルの定義
第二部:進路指導の実態 (進路指導部長は〇〇〇を持て!)
第三部:アジア進学の実践事例
第一部:日本人特有の「ウチ」と「ソト」の考え方とグローバルの定義
第一部では、グローバルについての話が中心でした。はじめに、グローバルという言葉の定義については有識者同士ではあまり共有されていないという現状から話が始まりました。
Teacher2.0のサロンメンバーには、第一週の課題として出題したグローバルの定義についてのアウトプット内容について池田先生は触れつつ、日本人の「ウチ」と「ソト」という概念について説明されていました。
和辻哲郎著の『風土』には上のスライドにあるようなこんな記述があります。この内容から日本人は「ウチ」と「ソト」という概念が強く存在しているということで、逆にいうと「ソト」に対しては、厚い壁が存在しているのだ、と述べられています。
また、「ウチ」の定義の中には、一個人単体の存在だけでなく、家族や同僚、親戚なども「ウチ」の範囲内と捉えていることも日本特有だとのことを言っていました。ヨーロッパはあくまで独立した自分と他者との関係であることも同時に述べられていました。
また、池田先生が当時研究されていたイギリスのシチゼンシップに関してで、イギリス人に対してグローバルの定義を問うた時にでた回答としては、ネガティブなものが多かったとのことでした。それは、ウェールズやスコットランドなどイギリスの中でもローカルの色が強いことが関係しているのではないかとのことでした。
中には、"グローバルとは侵略である"と答える学生もいるほどイギリス人にとってはグローバルをネガティブに捉える人もいるという指摘がありました。
他にも詳しい説明がありグローバルは多角的に見ると全く違った定義がそこにはあるとのことがわかりました。
日本人は、グローバルというとポジティブな意味合いでの話が多い中でこの辺りの印象の違いは顕著です。
他にも、移民政策やEUなどにも触れつつシチゼンシップという概念の重要性が増した背景について詳細に説明していました。
池田先生が考えるグローバルの考え方
では、池田先生はグローバルとはどのようなものか。
詳細については、Teacher2.0内のアーカイブを見ていただきたいのですが、上記の背景を踏まえたお話をされていました。
加えて、グローバルスタンダードは強者の論理が基本的に入ってくるということも指摘されていました。
そして結論としては、強者の論理が入ってくると自分とは何かを見つめるようになり、それこそがすなわちグローバル社会であると説明されていました。(※かなりの部分を割愛していますので詳細はアーカイブをご覧ください。)
最後に、「ウチ」と「ソト」を分けている以上はグローバルという概念がスタンダードにならないと述べています。日本人はグローバルに対し強烈な「ソト」を感じ、「ウチ」から「ソト」に出ること・向かうことが非常にポジティブ見られています。
しかしながら、これこそが本来の日本が歩んできた考え方であり、「ウチ」と「ソト」を分けない考え方を提言し、実行することはどこかリアリティに欠けると述べられていました。
強者の論理という考え方や「ウチ」と「ソト」に対する考え方からグローバルについての定義づけは非常に明瞭でわかりやすく考えさせられる内容となっていました。
第二部:進路指導部長は〇〇〇を持て!
この流れから第二部の進路指導に移りますが、基本的な考え方としてもグローバルの定義を明確にした上で、進路指導にも適用しているとのことでした。
ここで、キャリア教育の話を挟んでいます。
偏差値教育は悪なのか?"いい大学"から"いい会社"へは本当か?について述べつつ、大企業が10年後存在するか、について様々なデータから問いを立てられていました。
進路指導の実情としては、"いい大学にいけば"、"いい会社へ"就くことができる、までは語られるが、その"いい会社"がグローバル社会においてどのような立ち位置であるのか、ということはあまり語られていない現状があるようです。
日本の大企業における統計データから時代ごとの変遷を事例に挙げ、グローバル社会における立ち位置について述べられていました。
池田先生は、これらの情報は進路指導には必ず必要だと説明されており、ずばり「進路指導部長は〇〇○を持て」との提言がありました。
〇〇○を持つことで、様々な日本企業の状況がわかることで、グローバル社会において日本社会の立ち位置や今後のキャリア教育に関するヒントが得られるとのことです。
第三部:人生をドラスティックに変えるためアジア進学を推進へ
ここからは第三部ですが、池田先生の前任校では在籍された年にちょうど大阪 私立高校無償化の流れがあった年でもあり、金銭的に困窮している家庭が多く入学されました。
そのような状況下にある家庭は、概ね情報弱者であるという統計が出ており、実際に今でもスマホを持ってしてでも情報が不十分であると危惧していました。
そのような背景を持つ生徒に対して、AO入試指導や公募指導などに力を入れるものの、大学中退者が多かった現実がありました。
そこで、池田先生は進路指導の見直しをします。
最終的にたどり着いたのが、アジア進学だと説明されていました。具体的な統計データやなぜそこに行き着いたのかについても詳細に述べられておりました。
非常に大学後の人生も見据えた選択肢を増やすための台湾の大学やマレーシアの大学などを紹介しながら、前任校の最終年では池田先生が担任をしていた学級34名のうち11名が海外志望者になるほどでした。
進路指導をアップデートしたい人への提言:卒業者の追指導に関する活動を強化せよ!
池田先生のお話によると卒業生が卒業後、どんな進路を描き、どんな人生を歩んでいるのかを把握していかないことには、自分なりの進路指導の最適解は見つからない、ということでした。
みなさんは卒業生の状況をどれくらい知っているでしょうか?
池田先生ご自身は、大学の中退者を把握できたのも卒業後の進路についてコミュニケーションをとってきたからこそ実態を知ることができ、そこから進路指導のあり方について再考することにつながったと述べられていました。
そのためには、自分自身が指導をしてきた生徒が卒業後どのような人生を歩んでいるのかを知ることが重要だ、とのことでした。
質問コーナー
最後にいくつかの質問コーナーがありました。いくつかの質問取り上げます。どのように池田先生が回答しているかについては、アーカイブの動画をご覧ください。
Q. 人生をドラスティックに変えるポイントとして、アントレプレナーシップ教育もあると思うのですが、これについてはどうですか?
A. 先生が教えているアントレプレナーシップ教育や探究活動は...
Q. アジア進学のメリットについてよくわかりました。日本の大学への進学ではダメなんでしょうか?
A. 〇〇であるならば、日本の大学進学はありだとは思います。
Q. アジア進学をすれば人生が変わるということに対して生徒はどのように感じていますか?
A. 〇〇が必要だと感じる生徒に対しては〇〇のような反応ですし、そこは生徒の考えにもよると思います。
Q. 小学校の段階で保護者に対してこのようなアプローチをしておいたほうがいいよということがあれば教えてください。
A. アダプティブにやるのが理想だが、時間がない。全体である程度面で対応するには、何をすべきかというと、〇〇スキルを身に付けてもらえるといいと思っています。
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