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教育で貧困層から抜け出せるのか [Education as a Social Mobility] Written by: 佐藤祐子

あなたは子供や生徒に「なぜ勉強するのか」聞かれた時、なんと答えますか?

 

多くの大人は迷いなく「より良い仕事につくためだよ。」と答えると思います。しかし、これは本当に事実なのでしょうか? 


どれだけ簡単に、貧困層から抜け出し、もっと上の社会的位置に立てるようになるのかを、Social mobility(社会的流動性)と言います。貧困層、富裕層など、社会的地位の流動性の話です。

「教育は社会的流動性を可能にする」という思想は、現代の教育における主流な考えだと言えます。

 

私の母は教育を通じての社会的流動性(Social Mobility)を強く信じていました。

社会的流動性を信じていたからこそ、子連れのアラフォーシングルマザーにも関わらず、アメリカ留学を決意し、アメリカで博士課程を修了しました。

しかし実際、博士課程を出ていても、他の20代で卒業した人より遥かに発行した論文の数が少なく、英語もネイティブでない移民の母には、非常に厳しい現実が待っていました。

母はいわゆるAcademic poverty(高学歴でも見合った仕事がなく、学費の借金だけ残るという現象)に陥ってしまったのです。

今は比較的安定した収入がありますが、そんな母の理念を無意識に引き継いでいた私は、「勉強さえできれば今の苦しい生活から抜け出せる」と信じていました。

実際、母の努力もあって、今の私は貧困の中にいるとは思っていません。ただ、「お金の心配をしなくていい」ほど裕福ではありません。私の世代が、母や祖母の世代よりも上の社会的地位になれたかというと、簡単にYesとは答えられないのが現実です。

でも私は今も、学教育による社会的流動は可能であるべきだと信じています。 


しかし、現実はそこまで甘くありません。

2018年に行われたOECDの調査では、「現在の不平等と世代間の所得流動性では、貧しい家庭出身の子供が平均所得に到達するのにOECD諸国平均で少なくとも5世代または150年かかる」とされています。

北欧諸国では2〜3世代ですが、日本の場合、4世代または100年以上かかるという結果が出ています。

つまり、社会が今このままの状態であれば、今の生徒たちにとって、勉強をすれば、貧困から抜け出しいい仕事・収入を得られるかどうかは、確実ではなく「希望」程度しかないという結果が出てしまっているのです。


今の若者にみられる無気力や無関心は、Social Mobilityの難しさを敏感に感じ取り、無駄な努力をする事をやめる事で、無情な現実を受け止めようとしているのではないでしょうか。しかし、それは本来「奔放で怖いものなし」という若者特有のエネルギーを無駄にし、「失敗しても立ち直れる」という成功体験を味あわせてあげられない、とても残酷で、悲しい事だと、私は感じています。


 OECDはこの状況を打破するためには、「教育、特に幼児教育と医療、家族政策への投資を増やす」ことによって、現状を変え、「誰にでもチャンスを与える政策を実施する必要」があるとしています。


この結果を踏まえた上で、私たち教師は、改めて「なぜ勉強するのか」を考え模索し、今彼らの生きている社会を「どのように変えていくのか」「どれだけ早く変えられるのか」を追求し続けなければならないと思っています。

 

最後に改めて…あなたは子どもや生徒に「なぜ勉強するのか」聞かれた時、なんと答えますか? 

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